価値を見出す力。その価値を信じる力。これこそ信念の力である。
信じ念じる力が道のないところに道をつくり、人を偉大な高みに
押し上げていくのだ。
信念の力
四十数年前も前のことである。京都で数百人の経営者を前に
松下幸之助氏が講演をした。
その趣旨は、人材も資金もダムのようにプールしておく経営、
つまり余裕を持った経営をしなければならない、ということであった。
松下氏の持論であるダム式経営論である。
講演が終わって、聴衆の一人が質問した。
ダム式経営をしたいのは山々だが、どうすればできるのか
秘訣を教えてくれ、というのである。
松下氏はじっと考えてから、「わかりませんな」と答えた。
そして、こう続けた。
「一つ確かなことは、まずダム式経営をしようと思うことです。」
失笑が会場をおおった。
「思うだけで出来たら世話はない」「馬鹿にするんじゃない」。
そんな声も聞こえた。
だが、その中でただ一人、頬を紅潮させて松下氏を見つめる青年がいた。
京セラを創業して間もない二十代の稲盛和夫氏である。
そうか、まず思うことなのか。
稲盛氏は脊髄の奥に火がついたような感動で心を熱くした。
その心の火が信念になって凝固した。
信念とは信じ念じることである。
稲盛氏はダム式経営を信じ念じ続けた。
その信念は京セラの現在に結晶している。
一つは、「価値を見出す力」である。
自分の置かれた環境、そこに結ばれる縁、携わる仕事等々に、
多くの人はさしたる感興も覚えず、それらはたまたまのもの、
ありきたりのものとみなしがちである。
だが一業を成した人はそこに独特の強烈な価値を見出すのだ。
もう一つは、価値を「信じる力」である。
ふたたび稲盛氏に登場していただく。
京セラ創業時、セラミック製造の作業は誇りまみれ泥まみれ、
汚い、きつい、厳しいの典型的な3K職場であった。
若い社員の顔にはうんざりした色が浮かぶ。
深夜作業を終えると、そんな若い社員と膝を突き合わせてラーメンを
すすりながら、稲盛氏は熱っぽく語り続けた。
自分たちがやっているのは世界の誰もやっていない仕事なのだ、
自分たちは世界の先頭を走っているのだ、と。
仕事に見出した価値。それを強烈に信じていたのである。
そして、それが京セラのベースをつくったことは言うまでもない。
価値を見出す力。その価値を信じる力。これこそ信念の力である。
信じ念じる力が道のないところに道をつくり、人を偉大な高みに
押し上げていくのである。
最後に松下幸之助氏の言葉を掲げる。
「根無し草に花は咲かない 信念がなければ人生に花は咲かない」
成功を願い続けた人が成功している
全て『人の心』が決めるのだ。
勝てると考えるなら勝つ
あなたが願うのならその通りの人になる。
強い人が勝つとは限らない
『私はできる』 そう考える人が結局は勝つのだ。