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彊めて息まず(つとめてやすまず)

 

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  小さな人生論の言葉より

  与えられた環境の中で
  ひたすら生きるものは美しい


この言葉の中には、どういう背景があるかと……

著者の藤尾秀昭氏は10年以上前にオーストラリアのエアーズロックに登った時に感じられたそうです。

 

 

このエアーズロックは高さ348メートル周囲9.4キロの巨大な一枚岩で、できており、朝に夕に色合いを変える神秘的な景観は広く知られているところです。

 

その折受けた鮮烈な印象が、いまも胸の奥に焼き付いている。
 岩につけられた道を辿ってる途中だった。ふと見ると、傍らに小さな花が一輪、咲いていたのである。美しかった。なんという花なのかは知らない。種が鳥に運ばれたものか、風に乗ってきたものか。僅か2.3ミリの岩の割れ目から細い茎を懸命に伸ばし、小さな花弁を精一杯広げていた。

 

 あたりは、乾燥地帯で空気は乾ききっている。かんかん照りの日差しが容赦なく降り注ぐ。そして岩の地肌。植物の生育にこれ以上の悪環境はあるまい。たとえ小さくとも細かくとも、そこに花が咲いていること自体が奇跡的である。
 

=もっといい環境で、肥沃な土壌にねを下ろし、湿り気をたっぷり吸収して育ちたかった=
 

この花はそんな風に思った事があっただろうか。だが、花は答えてくれない。環境が良かろうが、悪かろうが、与えられた条件を最大限に生かし、ただただ懸命に茎を伸ばし、精一杯に花弁を咲かせて、自分に与えられた命をひたすら、謳歌していた。

 

与えられた環境の中でひたすら生きるものは美しい。私は、命の本質に触れたような気がして、こみ上げる感動にしばし我を忘れた。

 

 

 

『易経』にいう。
「天行は健なり
 君子は自ら彊めて息まず」

 

天の運行は一瞬も休まず、止まることがない。日月の運動も春夏秋冬のめぐりも、すべてそうである。気分が乗るとか乗らないとか、暑いとか寒いとか、都合があるとかないとかで滞ったりはしない。粛々とただひたすら運行する。

 

この天地の大徳の現れである人間もまた、そうでなければならない。環境がどうだろうと条件がなんだろうと、天の運行のように、自ら彊めて息まず与えられた命をひたすら生きる。それが命の本質であり、命を躍動させて生きることなのである。

 

これは、天が人間に託した根源的メッセージであると思う。

 

エアーズロツクのかすかな岩の隙間にしがみつくように咲いてい名もない小さな花。あの花は天の心そのままを具現していたから、あんなにも美しかったのだ。

 

  彊めて息まず(つとめてやすまず)

古来から多くの人がこの言葉に発憤し、自己研鑽の道に勤しみ、命を躍動させた。私たちも天真を発揮させるべく、人生を突き進んでいきたいものである。


本当に、今の恵まれた命・環境に心から、心から感謝してこそ、そこに生きる力が湧きあがるんだと思いました。