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『致知』より

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言葉と運命 ~嶋野老師の話を聞いて(前段)~
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『致知』3月号の特集は、
賜生(しせい)――です。
私たちの人生も生命も、すべて天地宇宙より賜ったものだということです。

私たちは自分の体を自分のものと思って生きていますが、
そうではありません。
すべて天地からお借りしたものです。
だから、その時がきたら、すべてを置いて、
私たちは旅立っていくのです。

そういう趣旨のことを総リードに書かせていただきました。
拙いながら、私自身の実感です。

さて、その『致知』3月号の「致知随想」欄に、
松原紗蓮(しょうれん)さんという尼僧の方が、
「泥を肥やしに咲く花」
という一文を寄せてくださっています。

 

 

 

詳細は省きますが、松原さんは両親の離婚により、
2歳7ヶ月の時に、愛知県の浄名寺に預けられます。

その事実が分かったのは中学2年の時。
自分の生い立ちを知った少女は、
それまでの聞き分けのよい少女から一変、
髪は金髪、耳にピアス、暴走族の仲間に交じり、
薬に手を出し、幾度も自傷行為を繰り返す。

 

しかし、そんな彼女を事実上の育ての親である庵主は
一切とがめず、松原さんが20歳になった時、
断固として寺修行に行かせ、立ち直らせたのです。

 

後日、自分の愚かな行為を反省するまでに成長した松原さんが
「なぜ、私を叱らなかったのか」
と訊ねると、庵主はこう言ったといいます。

 

「人間は、時が熟さなければ分からないことがある。
 ひと月前のおまえに私がどれだけよい言葉を聞かせても、
 かえって反発を生むだけだった。
 いまおまえが分かるということは、
 おまえに分かる時がきたということだ。
 仏道は待ちて熟さん」
 
 

これはすごい言葉ですね。
このひと言を発した庵主さんはただ者ではないと思います。

 

あらゆるものに機縁がある。
人が言葉と出合うのにも機縁がある。

人間は生まれて死ぬまで、どのくらいの言葉と出合うのでしょうか。
おそらく無数・無限の言葉と出合います。

その中で、ある時、ストンと心に落ちる言葉がある。
心の土壌と、言葉の種がうまく合致した時、
その言葉はその人の心の中で大きく成長し、
その人の運命を招来する力となる。

そんなふうに思います。

つい昨日、嶋野榮道老師の話を伺いました。
27歳の時、単身アメリカに渡り、約50年、
アメリカ人を中心に5万人もの欧米の人たちに
禅を教えてこられた人です。
その嶋野さんをアメリカへ導いたのも
そんな言葉との出合いがあったからです。   到知~3月号

 

 

 

 

私自身も、今までにこの『言葉』との出合いがあり、ここにいます。

きっと、そういうことの積み重ねで人との縁があり、愛され、そして、言葉を頂き、導いてもらった結果だと思います。

言葉が、すっと、入っていく時、読んでいる本でもそうだと思います。

前に読んだ本でも、また読み返すと、違うところが、入ってきたり、本当に

ストンと心に落ちる時があります。

自分自身のことでもそうですが、人と接する時に、言葉のカードがあるとすれば、その出し方をよく考えて、相手のタイミングに合わせて出さないと、生きた言葉にならないと思います。

そして、タイミングを合わせてもらって成長を見守って頂けている事も、感謝できると素晴らしいと思います。

 

 

 

 


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